北海道における17世紀以降の火山噴火とその人文環境への影響
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概要
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"北海道は,本州の弥生文化に相当する擦文文化期を経て,14~15世紀頃アイヌ文化が形づくられ以後数百年間本州の諸地域とは大きく異なる歴史を歩んだ大地である。しかしながら,北海道は記述資料が非常に乏しいために,17,18世紀に至っても自然地理学的にも人文地理学的にも明らかにされていない問題が多く残されている。記述資料に乏しい北海道において,歴史を解明する上での情報はおもに「土(地層)の中」から得られる。例えば,出土遺物は人々の生活を物語り,地層を構成する堆積物及びその中に埋没した花粉や植物珪酸体などは古環境の推定材料となる。また,過去数百年間という短いタイムスケールで地層の年代を決定するためには,地層中に挟在する火山灰層の同定・対比が重要な意味をもつ。ことに北海道においては,17世紀以降,渡島駒ヶ岳(以下駒ヶ岳),有珠山,樽前山などの諸火山が相次いで大噴火を起こしており(第1図参照),これらの噴火に伴って噴出した降下軽石や火山灰の中には道東地域にまで広く分布し,地層中の有効な示標層となり得るものがある。また一方で,このような大規模火山噴火は,当時の人々の生活に少なからぬ影響を及ぼしたものと考えられる。そこで,(1)北海道の過去1000年程度の新しい時代の火山灰編年を再検討し,17世紀以降の火山噴火についてより詳細な情報を得るとともに,(2)17世紀以降の火山噴火及び火山噴出物の堆積が人文環境に与えた影響について歴史的事例を挙げて考察した。"
- 1989-05-10
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