<資料>台湾における視覚障害児の統合教育形態の変遷 : リソースルームを基盤とする巡回指導への改革を中心として
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概要
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1990年代半ばの台湾において、それまで資格障害児に対する唯一の統合教育の制度であった「教員派遣型巡回指導」を発展させる形で、指定校に設置されたリソースルームを基盤とする「リソースルーム型巡回指導」への転換が始まった。本研究では、その転換の実態、および要因と背景を明らかにした。「リソースルーム型巡回指導」は1995年に1県市で採用され、2003年までに、全国の県市の3分の2近くに普及している。この転換により、巡回による指導に加えてリソースルームでの指導も可能になった。また、巡回教員が本来の業務に専念できる体制が整った。転換のきっかけは、1994年に政府が出した全国巡回指導実態調査報告書に基づく提言であった。その背景には、「教員派遣型巡回指導」の実施上の問題の顕在化があり、また、一方で1980年代からの他障害におけるリソースルームの増加の影響があった。そして、数年間に急速な転換を促したのは、何よりも同時期に全国的に進められた特殊教育改革、すなわち特別教育支援の推進、およびそのための財政措置があったためであると思われる。