本稿は狂言台本虎明本(1642年)を資料に用い、行為要求表現という観点から否定疑問文「動詞+ヌカ」の調査ならびに考察を行ったものである。現代語において「動詞+ナイカ」が勧誘、以来、勧奨、命令という行為要求を表す一形式として活発に用いられるのに対し、当該資料にみられる「動詞+ヌカ」は「これまで/現在の状態」を問う例が多数を占めており ...