ハンガリーの社会動向と福祉レジーム (特集:ロシア・東欧における社会保障の動向)
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概要
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ハンガリーでは共産主義崩壊後「転換不況」が起きたが、1997年以降経済成長が本格化し、GDPは2000年に1989年の水準まで回復した。しかし、生活水準回復は遅れ、雇用回復は緩慢である。また、所得格差の広がりや、少なくない貧困層の存在など資本主義化の代償は大きい。それに対する国民の不満が4年ごとの政権交代の一因となった。ハンガリーの福祉レジームは、共産主義時代の「国家的生活保障システム」(小森田)から、ポスト共産主義初期に、社会保険制度に基づく「大陸欧州型」の方向に再編された。その後、内外不均衡や世界銀行からの働きかけで「自由主義」型への傾斜を伴った。しかし、「残余主義」に対する国民の反発は大きく、その後の政権は「軌道修正」を行っており、ハンガリー福祉レジームの帰趨は未定である。EUの中東欧諸国への提言において社会権重視の姿勢は弱い。EU加盟がハンガリー福祉レジームの「欧州化」を促すという確証はない。
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