医療供給制度改革の政策レジーム分析--供給抑制型政策への転換をめぐって
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概要
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日本の医療供給政策は,1980年代中葉に,従来の供給促進型から供給抑制型へと大きく転換した。他方,その主要政策手段は誘導型規制から直接規制へ変化し,当時の新自由主義的改革の基調とは逆行するように,行政介入が強化された。この80年代の医療供給制度改革の背景・要因と,その政策過程の解明が本研究の目的である。本稿ではウィルソン(Carter A. Wilson)の提唱する「政策レジームモデル」を分析枠組みとして援用し,包括的な政策過程分析を試みた。政策レジームは,①権力変性,②政策パラダイム,③組織,④政策,の4つの次元から構成されており,通常は長期的安定状態にある。しかし環境の変化が政策レジームに圧力を加え,その後,供給促進パラダイムの危機と転換,専門家共同体の形成と社会党の現実政党化による政策ネットワークの変化,厚生省衛生部局の再編,供給抑制型政策と直接規制の実施を経て,レジームが完全に変容し医療供給政策の転換がもたらされたことが明らかになった。
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