福建民間傀儡戯における祭儀文化の特質について
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概要
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中国南方の沿岸地区に位置する福建省は,かつて越国のあった土地である。さまざまな歴史ある芸術文化が,千数百年の歴史を経ながらも,今日もなお民間に数多く残されている。唐宋の時代以来,この地域には傀儡戯が流行したが,これもその芸術文化のひとつである。福建で流行した傀儡戯には,提線,杖頭,薬髪,布袋,鉄枝,肉傀儡などの種類があるが,今も多くの傀儡戯が民間において活き活きとした生命を保っており,その中でも提線と布袋がもっとも大きな影響力を持っている。さらに,これらは中国木偶芸術における重要な代表物であり,世界各国の芸術界からも注目を集めている。 しかし,宗教的な祭祀と最も密接な関係を持っているものについて考えるのならば,やはり提線傀儡戯であろう。提線傀儡戯の前身は漢代以降の「賓婚嘉会皆作魁」の「喪家楽」である。福建に伝わった提線傀儡戯(以下,傀儡戯と略す)は,その母体の文化である祭祀儀式文化を受け継ぎ,千数百年の歴史の流れの中で,民衆の社会生活(宗教や娯楽などの文化生活も含む)と密接な関係をつくり上げてきた。また,その中から豊かな内容を持ち,形式も多様で,色彩も豊富な祭祀儀式の文化も数多く発展してきた。そして傀儡戯の持つ祭祀儀式文化の特質が,これらの宗教と芸術文化を融合させ,ひとつの民間芸術を産み出し,さまざまな複雑な歴史的,社会的条件にも耐えしのぎ,今もなお民間社会において根強い生命力を持っている。本論文では傀儡戯と祭祀儀式文化に関連した歴史文献資料に重きを置き,祭祀儀式の特徴や祭祀儀式における戯劇の形態について考察を行い,国内外の専門家の意見を請いたいと考えている。
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