韓国企業家精神の基層文化に関する史的考察
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概要
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植竹晃久教授退任記念号韓国企業は,今日まで1997年のIMF 危機をはじめとする激しい環境変化を経験してきた。このような歴史的環境変化に直面しつつも,多くの韓国企業はそうした困難を乗り越えてきている。こうした困難を乗り越えることを可能にした経営革新の原動力となったものは,朝鮮時代以来の文化的伝統から培われてきた,韓国企業家精神の発揚によるところが少なくないと考えられる。1)本稿は,韓国企業家精神の基層文化としての「両班精神」という概念に着目しつつ,現代の韓国企業家像を明らかにすることを主な研究目的としている。そのために,歴史経路依存性HistoricalPath Dependenceの観点から,「朱子学」(neo-Confucianism)と「両班精神」について考察を深め,それと「企業家精神」との関連性を明らかにした。韓国企業家精神の原動力を両班精神と位置づけ,韓国企業家精神の類型化を行った我々の調査によれば,2) いわゆるIMF ショック以降のアングロ・アメリカ的な合理主義的管理方式の導入が強力に推進された今日の時点においても,韓国の伝統文化に培われた価値観にのっとった企業家類型(「温故知新型」)が最も代表的であった。しかも,この温故知新型である企業家類型の価値観は,それが韓国の伝統的精神の側面を脈々と継承しつつも,ただ単にそれを継承するのではなくして,新たな環境変化に対応させて絶えず新たな要素を取り込みつつ,時代の要請に応えていくという柔軟な側面を具えているということが特徴的であった。
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