大学の技術移転に関する一考察--異質な文化の交差によるイノベーション
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概要
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植竹晃久教授退任記念号米国では,生命科学や情報通信という新しい分野で大学の研究成果が社会で大きな貢献をしている。大学と企業という異質な価値観が交差することによりイノベーションを促進させ,新商品や新サービスが生まれている。米国において,大学の研究成果を市場に移し,異質な文化のコラボレーションを促進させる原動力となったのが「バイ・ドール法(Bayh-Dole Act 1980)」である。バイ・ドール法により,大学の技術移転の体制整備が促進され,大学の技術移転活動は活発化してきた。大学の技術移転は,仲介者が特許を移転のツールとし,企業等との情報の交流を進め,連携を促すことにより進められる。日本においても,米国をモデルとして,政府主導で技術移転に関する諸制度が導入されてきた。しかし,技術移転の手段に対する政策が先行し,米国の場合と比較すると歪んだ形で発展してきた。2004年の国立大学の独立行政法人化により,大学の技術移転の枠組みは整ったが,政府の方針に追従するだけではなく,大学自らのイニシアチブにより,技術移転活動の内容を発展させるがことが課題となっている。大学の技術移転に携わってきた経験によると,大学の研究の実用化は研究者や学生に刺激を与え,大学に新たな活力を間違いなくもたらす。
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