契約理論の観点からのコーポレートガバナンス--経営者に対する規律づけを中心にして
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概要
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植竹晃久教授退任記念号本稿は,契約理論の立場からコーポレートガバナンスについて考察している。契約理論の1つであるエージェンシー理論では,エージェントに対してモニタリングやインセンティブを付与することで完備契約を目指しているが,結果に関する立証可能性問題のため,現実的には困難となる。すなわち事前にすべての事象を契約に織り込むことは予測不能なコンティンジェンシーのため不可能であり,事後的に発生する問題に対して対応する必要がある。これはまさしく不完備契約理論であり,エージェントの努力水準と報酬の関係が立証不可能であり,また結果に対して再交渉の余地があるので,事前的に契約を完備にすることはできないとしている。そこで不完備契約モデルでは,制度,資本構成,コーポレートガバナンス等を補完してエージェントのインセンティブを導出し,セカンドベストな契約を達成しようとするのである。
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