女性の就業継続支援策 : 法律の効果・経済環境の効果
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概要
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商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty50周年記念論文企業は女性の人材活用を阻んでいるひとつの理由として,勤続年数の短さをしばしば挙げる。企業が人材育成をしても,多くの女性は能力を発揮する前に企業を辞めてしまうというのである。政府は女性の継続就業を支援するため,男女雇用機会均等法におけるポジティブ・アクション(積極的是正措置)を制定し,育児・介護休業法を改正してきたが,はたしてその効果はどの程度大きかったのか。また労働需給に代表される経済動向は,企業による人材確保の必要性の変化を通じて,女性の就業継続にどの程度影響したのか。そして企業の指定する労働時間の長さや夫の所得水準は妻の継続就業にどのような影響をもたらしているのか。結婚後,出産後の継続就業率は,一方的に上昇してきたわけではなく,これらの要因がどのように影響してきたかを見極めることは,今後の雇用政策のあり方を論ずるうえで重要になる。 本稿は,家計行動を長年にわたって追跡調査したパネル・データに基づき,法律改正による政府の就業支援策や経済環境の変化が女性の結婚後・出産後の離職行動や再就職行動に与える影響を分析することにより,今後の雇用政策のあり方について検討することを目的にしている。実証分析の結果,法律の施行とともに,失業率の低下に代表される経済環境の好転,人材確保の必要性の拡大は女性の継続就業に大きな影響を及ぼしていることが確認された。とくに政府の支援策は保育サービスの拡充や企業の人材確保の必要性と相まって大きな相乗効果を発揮することを可能にし,各種制度の構築と運用上の改善が備わってはじめて,女性の継続就業は容易になることが示される。政府は今後の政策として,企業独自の行動計画の策定や公開を義務付け,これに向かって制度を整備すると同時に,企業の運用面における自主的・積極的な取り組みを促すような新たな仕組み作りを求められている。
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