保険コストの社会化と保険原理
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
赤川元章教授退任記念号保険制度は,保険コストを社会化することによって保険機能を維持してきたが,市場競争の導入により保険原理が強化され,保険コストの社会化の内容は,次第に変化しつつある。本来,保険原理は,競争原理と高い整合性を認められ,そこでは,内部補助が排除される一方で,保険機能を拡大するために,新たな「保険コストの社会化」を図ろうとする動きも見られる。こうした中で,保険自由化は,客観的な保険原理よりも,主観的な保険機能へウェイトを移行させると共に,保険選択の主導権を保険会社から保険契約者へ転換させている。相次ぐ新型保険の登場は,保険原理の概念の枠組みから越えて拡大しようとするものである。保険原理への一方的な接近は,セーフティネットとしての保険機能の低下をもたらすことから,社会全体における官民役割分担のあり方が問われている。同時に,保険学は,その独立性を維持するためには,保険理論と現実事象との整合性のある「保険の本質」を再確認すべき時期にある。
- 慶應義塾大学出版会の論文
慶應義塾大学出版会 | 論文
- これからの障害者支援--自閉症の人への支援を実践して得たもの (特集1 青年期・成人期の発達障害支援)
- 障害児福祉の実際--社会的機関による受容と交流 (特集 子どもの福祉)
- アニマル・セラピー--与え、与えられるもの (特集2 動物のもつ癒しの力)
- 栄養と成人病 (最近の栄養)
- 携帯電話で犯罪は防げるか--犯罪心理学の観点から (特集 子どもとケータイ)