持株会社による企業グループ管理の課題--特にシェアードサービスの導入について
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概要
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植竹晃久教授退任記念号連結財務諸表に主要な財務諸表が移行したことなどを契機として,企業グループ全体としての業績または価値の向上が求められ,企業グループ全体の組織化がより一層重要な課題となった。純粋持株会社により企業グループを組織化する最大の目的はグループ価値の向上であるが,それを達成するために,①トップマネジメントが事業遂行から離れ戦略的な意思決定に集中する,②事業ごとに組織を整理して事業会社ごとの業務の対象を明確にする,③事業会社へ権限を委譲し,業績を明確にする,④不要な事業の売却や廃止を容易にする,という4つの具体的な目的を考えることができる。逆に持株会社化に伴う課題として,①純粋持株会社の業績評価,②純粋持株会社の収益の源泉,③採用・異動に関する人事上の課題,④資金配分に関する課題,⑤間接部門の位置づけ,などを指摘できる。本稿では,特に課題の⑤についてSSC の形態の選択に関するポイントを整理した。持株会社化に伴う間接機能の組織化には,①持株会社と各事業会社に間接機能を分散,② SSC の設立,の2種類のパターンがある。後者のパターンで,SSC を持株本社内に設立する場合と,傘下の事業会社と同様にSSC を子会社として設立する場合に分けて検討している。両者の違いは純粋持株会社が大きな本社になるのか小さな本社になるのかという違いとなって表れる。持株会社には一般的に戦略的な機能だけを残すので,そのほかの間接機能も分社化してSSC を設立する根拠を得やすい。それに対して,本社内にSSC を設立している場合には,持株本社が大きくても本社管理部門としての機能の遂行の容易さが優先されている。
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慶應義塾大学出版会 | 論文
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