聖地の環境放射線量調査-四国遍路編-
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概要
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【目的】福島第一原発事故以降の環境放射線への社会的関心の高まりを背景に、これまで取り組まれていなかった聖地の環境放射線量を測定する。【方法】四国八十八カ所に番外札所を加えた90カ所を調査地とし、携帯型γ線測定器を用いて聖地の地表γ線量を測定し、調査地の地理情報や計測器の設置面の環境などの比較を行った。【結果】四国遍路の聖地における平均放射線量は0.087μSv/hであり、越谷市と同レベルである。また県別や設置面での比較に有意差が見られた。【考察】放射線量は西にいくほど高くなる傾向がある。先行研究から自然放射線量が高いことが知られている愛媛県や高知県の一部では、本調査でも高い値が得られた。また設置面が石畳である場合は顕著に高い値が得られた。このことから、聖地が自然放射線に人工的な宗教的空間としての放射線量が付加された「非日常的」な環境であることが示唆される。最後に四国八十八カ所の巡礼で受ける総被曝量を5.1μ/Svと推計した。