スモールセルの導入効果に関する一検討(移動通信ワークショップ)
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概要
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急増するモバイルトラヒックを収容する手段として, SHF(Super High Frequency)帯のような高周波数帯における広い帯域をセルラシステムで利用することが注目されている.しかし,高周波数帯は電波の直進性が強く,これまでセルラシステムで使用されてきたUHF(Ultra High Frequency)帯のような低周波数帯と比較して,カバレッジを確保することが難しいという課題がある.本課題に対し, 3GPP(3rd Generation Partnership Project)では,低周波数帯を少なくともマクロ基地局に,高周波数帯を少なくとも小セル基地局に適用する,階層型のネットワーク構成と,その最適化に関する議論を開始している.階層型ネットワークでは,トラヒックの集中するエリアに多数の小セル基地局を導入することが効率的であることから,小セル基地局は,置局を容易にするために,可能な限り小型であることが求められる.この要件を満たすために,小セル基地局の最大送信電力を抑えることは非常に有効である.一方,階層型ネットワークにおける小セル基地局の最大送信電力が,下りリンクのユーザスループットに与える影響は明らかになっていない.そこで本稿では,階層型ネットワークにおいて,小セル基地局の最大送信電力が下りリンクのスループットに与える影響について評価する.計算機シミュレーションを用いた評価により,マクロ基地局,小セル基地局の置局シナリオにより,同影響が変化することが分かった.具体的には,マクロ基地局と小セル基地局に同一の周波数帯を適用する同一周波数置局では,小セル基地局数に関わらず,小セル基地局の最大送信電力を小さくするとユーザスループットが低下する一方,マクロ基地局と小セル基地局に異なる周波数帯を適用する個別周波数置局では,小セル基地局数が少ない場合,小セル基地局の最大送信電力を小さくするとユーザスループットが低下するが,小セル基地局数が多い場合,小セル基地局の最大送信電力を小さくしてもユーザスループットはほぼ変わらないことが分かった.
- 2013-02-20
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