多糖の高次構造と物性・機能に関する研究(受賞論文)
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概要
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多糖類は単糖がグリコシド結合でつながった一次構造をもつ高分子である。その単糖の種類と結合様式によりその構造は決まる。1本鎖の場合の高次構造はその分子鎖が比較的自由に構造を変えることができるため,一定の形をとることができない。溶媒中の多糖の分子鎖は時々刻々と形を変えているといえる。しかしながら平均の形態や堅さはその一次構造を反映したものとなる。一方,多重らせん構造をとる場合,溶液中においても相当堅くその形を維持することができる。また多糖は多くの水酸基をもつので,温度,pH,溶媒の種類を変えることにより,構造転移を起こす。本研究ではこのような考えをもとに,多糖の高次構造について,分子力学,モンテカルロ法,分子動力学などの分子モデリング法,光散乱法,小角X線散乱法,流体力学的方法,電子顕微鏡法,原子間力顕微鏡などにより多面的に解析を行った。また,構造転移については熱測定法(DSC)によって知見を得た。さらに,自然界での多糖の高次構造と機能の関係を知るために,デンプンと植物細胞壁をテーマとしてその内部構造を非破壊的に観察する方法により研究を行った。一方,他の分子との相互作用に関しても,分光学的方法,熱測定法などにより解析を行い,その高次構造と機能の相関に関する知見を得た。
- 日本応用糖質科学会の論文
- 2011-01-20
著者
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