2. 高齢者の味覚障害に対する口腔内科学的診断および治療の重要性(<総説特集>味覚(うま味)と口腔保健:より健康な生活を目指して)
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概要
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我が国は、いまだかつてない超高齢社会に直面しており、味覚障害患者が増加している。高齢者の味覚障害は、単なる感覚障害にとどまらず、食欲低下から体重減少を引き起こし体調不良に発展する。我々は、うま味検査法を開発し臨床に応用したところ、基本5味の中で他の4味の感受性は正常でありながら、"うま味"のみに感受性低下を示す高齢者が存在すること、さらに、これらの患者では体重減少が顕著であることが判明した。高齢者においては、全身健康の観点からも、味覚障害(特にうま味障害)を早期に発見し治療することが重要である。一方、味覚外来の受診者では、味覚障害の主たる原因である全身疾患や亜鉛欠乏に対する治療を既に受けている患者も多い。これらの患者に、口腔疾患の治療を行うと、味覚の改善が得られた。元来、高齢者には口腔疾患保有率が高い。さらに、全身疾患など他の原因は口腔疾患を誘発する場合がある。高齢者の健康長寿を実現するために、高齢者の味覚障害に対する、口腔内科学的診断と治療が必要ではないだろうか。
著者
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