2007年-2008年の横須賀市における麻疹の流行について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
横須賀市では2007年11月〜2008年5月に700名を超える麻疹の流行が報告され,年齢別罹患者数で8 歳児が一番多かった.届出で8歳児の患者の62.7%が麻疹を含むワクチンの接種歴(以降麻疹ワクチンと表記)がありとされた.ワクチン既接種者の占める割合が多かった8歳児における麻疹流行の原因を明らかにし横須賀市における麻疹予防接種施策に役立てるために,流行期間中に麻疹の生徒が10人以上発生した小学校の,8歳児を含む学年生徒の保護者に対して匿名のアンケート調査を行った(回収率56.7%).麻疹ワクチン接種率は86.4%で,市内医療機関で接種された麻疹ワクチンの98.9%がA社とB社の製造したワクチンであった.麻疹ワクチン接種者の発症割合は9.3%であるのに対して,未接種者の発症割合は62.5% であった.A社とB社のワクチン有効率(Vaccine Eff ectiveness,VE)はそれぞれ78.3%(95%CI:57.7%, 88.9%),97.2%(95%CI:79.3%, 99.6%)で,A社の特定のロットで特に低い可能性が示唆された.今後の麻疹の流行を予防するためにこのロットが接種されたと考えられる世代に麻疹ワクチンの2回接種を徹底させることが必要である.