癌領域の第II相臨床試験の多段階デザインにおける早期無効中止基準のカットオフ値の検討
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概要
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背景および目的 抗癌剤の第II相臨床試験は,通常1群無対照で実施し,対象とする癌腫に対して治験薬を組み入れた新しい治療と既存の標準的治療との比較を行う第III相試験等のさらなる評価を行うべきかについて判断するために実施される.一方,Wathen et. al. (2008)は,2値またはtime-to-eventデータに対し予後因子として2つ以上のサブグループを有した1群無対照の第II相臨床試験において,薬剤・サブグループ交互作用が存在する場合を考慮したある種のモデルベースのベイズデザインを報告した.本研究では,最近の癌領域における新規治療の開発状況を考慮し,効果予測因子としてバイオマーカーを用いた分子標的療法の開発を想定する.ある種のバイオマーカーの発現の有無により2つのサブグループを有し,主要エンドポイントを奏効率とした癌領域の第II相臨床試験において,Wathenにより報告された方法の早期無効中止の基準値(カットオフ値)を検討することとした.方法 Wathenの方法を用いて,新薬が有効である事後確率のカットオフ値を偽陽性および偽陰性による全損失より検討した.結果および考察 薬剤・サブグループ交互作用が存在する場合,偽陽性率に重点をおくと新薬が有効である事後確率のカットオフ値は0.150-0.175が妥当であることが示された.
- 国立保健医療科学院の論文