特発性肺線維症の急性憎悪の予後因子に関する統計学的検討
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概要
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目的 特発性肺線維症(IPF)は,予後不良な急性増悪(AE)という病態を引き起こす頻度が高く,有効な治療が乏しい難病である.AEの防止効果があるとされる治療薬が注目されており,AEを起こす予後因子について検討することが必要とされる.本研究ではAEとFVC(努力性肺活量)のベースラインからの低下率との関連について統計学的に検討することを目的とした.方法 IPF患者74名について後ろ向きに情報を収集し,AEを起こすまでの時間を結果変数,FVCのベースラインからの低下率の影響をCox 比例ハザードモデルで非時間依存性共変量,時間依存性共変量として取り扱い,あわせて個人差指数を利用した解析を行った.低下率と個人差指数に関する感度分析を行った.結果 FVCの低下率と個人差指数による異常低値は時間依存性共変量とした場合にAEに対する有意な予後因子として検出された.さらに個人差指数を導入することで,個人ごとのFVCの生理的変動範囲からの逸脱をより鋭敏に判別できる可能性が示唆された.結論 AEに及ぼす予後因子に関して,時間依存性共変量を用いた解析の重要性および個人差指数の臨床的な応用の可能性が示唆された.
- 国立保健医療科学院の論文