球体モデルによる風車への鳥類衝突数の推定法
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概要
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風車に鳥が衝突する頻度を予測する数理モデルはいくつかあるが、風向によって回転ブレード面の向きが逐次変化する風車において、その衝突危険域の設定法には課題がある。また、ブレード回転面へ鳥が角度を変えて突入する場合を想定した簡易なモデルはまだ開発されていない。本稿は、これらの課題の解決のための1 手法を提示しようとするものである。風車設置予定区域の中の衝突危険域は、ブレード長を半径(r)とする球体体積n 台分の合計体積(S)とする。Sを調査区域のブレードが回転する上端と下端の間の高度幅M 内の空間体積(M_v)で割った比率に、観察で得た設置予定区域内の高度幅M内の総飛翔距離を乗じて、S内の総飛翔距離(T_L)を求める。球体内の平均通過距離(m_ave)はm_ave =4r/3で得られる。これから、球体内に侵入する鳥の頻度(T_n)はT_n=T_L/m_aveで求まる。このうちブレード面に突入する個体数(B_n)はB_n≦T_n/2である。ブレード面への接触率をT、風車の修正稼働率をR'とすると、衝突個体数(T_N)はT_N=B_n・T・R'により得られる。Tは最大回転数(M_ax u)における角度別接触率の平均、R'は風速の階級別頻度q_iに風速別回転数(u_i)の比率p_i(=u_i/M_ax u)を乗じて合計した数値である。
- 2013-11-00