高温前処理法によるBi系高温超伝導針状結晶の育成と評価
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概要
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Bi系高温超伝導材料はエネルギー枯渇問題が深刻化する今日において,究極の省エネルギーを実現できる可能性を持っている。しかしながら,臨界電流密度(J_c)が低く,実用化の妨げとなっている.そこで,本研究ではこの低いJ_cの改善につながる新たな知見を得ることを目的とした.Bi系ウィスカーはJ_cがBi系高温超伝導単結晶に比べて高いことが経験上,知られている.最近,Bi系ウィスカーの高いJ_cは,構成元素の1つであるSrがCaで置換(以降Ca/Sr置換)されることによって生じることが明らかとなった.この知見からCa/Sr置換量を一層増加させることでJ。を更に改善できると期待される.本研究では,母材であるガラス急冷体のCa組成比を大きくすることでCa/Sr置換量を増加させようとした.従来の育成方法では,Ca組成比を大きくしたガラス急冷体からは,Bi系ウィスカーは得られていない.そこで,"高温前処理法"という新たな育成方法を提案した.この方法は,育成初期にガラス急冷体を融点以上の高温で加熱し,溶融成長を促進する育成法である.この高温前処理法を用いることで,Ca過剰のガラス急冷体からBi系ウィスカーを育成することに成功した.また,得られたBi系ウィスカーのCa/Sr置換量は30%と,これまでで最も高い値を示した.
- 2013-07-31