簡易型歩行分析計を用いた片麻痺患者の歩行機能再獲得過程の客観的評価の試み
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概要
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脳卒中片麻痺患者の歩行機能について簡便で客観的な評価が可能かを検討する目的で、簡易型歩行分析計を用いて継時的に分析を行った。簡易型歩行分析計は左右・前後・上下の加速度を算出でき、今回は加速度の継時的変化、歩行率、体幹の運動軌道、体幹の傾きを解析した。対象は回復期リハビリテーション病棟に入院中の初回脳卒中片麻痺患者4症例で、簡易型歩行分析計を装着して快適速度で10m歩行した時のデータを入院初期と入院2カ月後で測定し、分析した。歩行が最終的に自立に至った2症例では加速度の継時的変化が緩やかにリズミカルになり、振幅の増加がみられた。体幹の運動機能では動いた範囲が減少し、直線的な軌道から曲線的な軌道へ変化していた。一方、歩行が非自立のままであった群では加速度のリズムが崩れていたり、運動軌道が直線的なままであったりした。これらのことから、歩行自立度の指標として、加速度の変化がリズミカルであること、運動軌道が円滑であることなどが関係している可能性があると示唆された。これらの指標は歩行の安定に重要な要素であり、今回使用した簡易型歩行分析計で正確に評価できれば、有効な検査になると考えられた。
- 茨城県立医療大学の論文
- 2012-00-00
著者
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河野 豊
茨城県立医療大学付属病院
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冨田 和秀
茨城県立医療大学人間科学センター
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冨田 和秀
名古屋大学 リハビリテーション学部理学療法学科
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古関 一則
茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部
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内田 智子
茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部
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河野 豊
茨城県立医療大学付属病院診療部
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河野 豊
茨城県立医療大学付属病院リハビリテーション部
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