糸状菌由来エンドグリコシダーゼ(Endo-M)の新規なグライコシンターゼ様変異体の創製と糖鎖複合体の効率的合成への応用(応用糖質科学シンポジウム)
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概要
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糖タンパク質性のバイオ医薬品を生産する際には,糖鎖構造が均一な糖タンパク質を効率的に生産する技術が不可欠である。筆者らはMucor hiemalis由来のエンドグリコシダーゼEndo-Mが有するユニークな糖転移活性に着目し,糖鎖付加のツールとして糖鎖複合体合成に活用するための研究を行ってきた。Endo-Mは,N結合型糖鎖の高マンノース型だけでなくシアロ複合型にも作用し,オリゴ糖をGlcNAc1残基を有するペプチドなどに転移付加する特異な糖転移活性を有する。しかしその糖転移産物は酵素自らに加水分解され高収率で得られない。本研究では,Endo-Mの触媒部位周辺のアミノ酸残基に部位特異的変異導入を行い,Glycoside Hydrolase family(GH85)において完全に保存されているAsn175がオキサゾリン反応中間体形成の鍵残基であり,変異体N175Qは化学合成したオキサゾリン誘導体を基質として反応させることにより,糖転移産物が加水分解されることなく高収率で生成する"glycosynthase"様に機能することを見出した。Nl75Q変異体酵素は,高マンノース型やシアロ複合型の糖鎖のオキサゾリン誘導体を基質とすることにより,均一な糖鎖を有する様々な生理活性糖ペプチドや糖タンパク質を高収率で生産することが可能となった。
- 2013-05-20
著者
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Wang Lai-Xi
Institute of Human Virology and Department of Biochemistry & Molecular Biology, University of Maryla
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芦田 久
近畿大学生物理工学部食品安全工学科
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山本 憲二
石川県立大学生物資源工学研究所
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Wang Lai-Xi
Institute of Human Virology and Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of Maryland School of Medicine
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梅川 碧里
立命館大学生命科学部生物工学科
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山本 憲二
石川県立大・生物資源
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