Docosahexaenoic acid(DHA)とEicosapentaenoic acid(EPA)のがん細胞DNA合成阻害とハイパーサーミア併用による増感効果
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概要
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不飽和脂肪酸の二重結合数増加は細胞障害作用が高まる。われわれは抗がん作用の高い脂肪酸を見出すために、二重結合数6のドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid, DHA)と5のエイコサペンタエン酸(Eicosapentaenoic acid, EPA)のがん細胞DNA合成の阻害作用をin vitroで研究した。さらに、抗がんに有効なハイパーサーミアとの併用効果を試験した。また、両者の細胞内取込み量が細胞障害に関連するかどうかを考察した。[方法] DHAまたはEPAを投与したエールリッヒ腹水癌(EAT)細胞を37℃、40℃、42℃で1時間加温後、37℃で19時間または96時間培養した。細胞のDNA合成能は[3H]thymidineの酸不溶性分画への取込みの放射能量で評価した。DHAまたはEPAの細胞内への取り込みは細胞から脂質を抽出し、薄層クロマトグラフィーで遊離脂肪酸を分離して、ガスクロマトグラフィーによりDHAおよびEPAを定性定量した。[結果] 1時間の温熱処理につづき19時間培養した細胞に対するDHAとEPA のDNA合成阻害は37℃の場合と比較して40℃と42℃の処理で著しく増加した。DHAの阻害効果は50μMの低濃度では、無添加の対照を100%としたとき、EPAの63.1%に対し87.9%でEPAより効果が低かったが、150μMの高濃度では反対に16.7%に対し4.4%で高かった。EPAと比較したDHAの増感効果は温熱処理で顕著になり、100μMの濃度で40℃の場合は29.0%に対し19.2%、42℃では19.7%に対し10.6%であった。DHA またはEPAの存在での温熱処理1時間後96時間培養した細胞のDNA合成量の評価は37℃(11.3%、0.5%)、42℃(4.5%、0.6%)の両方で50μM以下の低濃度でEPAの阻害効果が亢進し、DHAの場合よりも高かった。しかし、37℃または42℃でのEPA の細胞の中への取込み量はDHAのそれより少なかった。[結論] in vitroでのEPA またはDHAの投与はEAT細胞のDNA合成を著しく阻害した。それらの効果はハイパーサーミアの併用でさらに促進された。また、それらの細胞内取り込みが細胞障害の原因であることが示唆された。かように、DHAもEPAのどちらもハイパーサーミアを併用する抗がん剤として有望と思われる。
- 2013-00-00
著者
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木村 政継
大阪市立大・医・生物物理
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木村 政継
大阪市立大学大学院医学研究科
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蔭山 勝弘
大阪物療大学保健医療学部
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田中 博司
大阪物療大学保健医療学部
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朝田 良子
大阪物療専門学校
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三羽 信比古
大阪物療大学保健医療学部
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