測定試薬変更時のプロトロンビン時間(PT)のデータ乖離に関する検討-先天性第VII因子欠乏症における乖離を経験して-
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概要
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【緒言】PTの測定において、試薬の変更により凝固時間(PT-s)が大きく延長したが、PT-INRが減少した先天性第VII因子欠乏症症例を経験した.このデータ乖離の原因検索を行ったので報告する.【対象と方法】対象として凝固第VII因子欠乏症症例とPT 測定依頼のあった203例の血漿および第VII因子欠乏血漿で作製した希釈検体を用いた。PTの試薬はPTフィブリノゲン(PT-Fib) (ISI値=1.81)またはリコンビプラスチン(RecombiP) (ISI値 = 0.82)を用いて測定し、PT-sとPT-INRの結果を比較検討した。【結果】第VII因子欠乏症症例のRecombiPで測定したPT-sはPT-Fibでの結果と比較して約3倍長くなり、PT-INRはやや減少していた。患者血漿におけるPT-FibとRecombiPで測定したPT-sの線形近似での相関性は不良であったが、 PT-INRの相関性は良好であった。第VII因子欠乏症例では、相関図上でPT-sは延長、PT-INRは減少方向にプロット(座標)がずれていた。第VII因子希釈検体のPT-sは第VII因子濃度が低下するほど、指数関数的にPT-sの延長がみられた。そこで希釈検体を両試薬で測定したPT-sを累乗近似で相関をみると、y = 0.12x1.79、R = 0.99と非常によく相関していた。今度は、患者血漿を両試薬で測定したPT-sの相関性を累乗近似曲線で描くと y = 0.08x1.96の数式が得られ、先天性第VII因子欠乏症例の座標点も曲線上にほぼ一致した。【結論】第VII因子欠乏症でPTのデータが乖離した原因を調べた。ISI値の異なる試薬で測定したPT-sは、累乗近似で相関するため、ISI値が低い試薬で測定したPT-sは、極端に高い値を示すと考えられた。一方、PT-INRは、線形近似を示すが、傾きが1より小さくなるためPT-INRは小さくなることが理解された。
- 2013-04-25
著者
-
川内 喜代隆
東京女子医科大学東医療センター内科
-
加藤 博之
東京女子医科大学東医療センター検査科
-
坂本 輝彦
東京女子医科大学東医療センター検査科
-
大塚 洋子
東京女子医科大学東医療センター 検査科光学診療部
-
山田 理恵子
米国
-
加藤 博之
米国
-
川内 喜代隆
東京女子医大・東医療センター内科
-
坂本 輝彦
東京女子医科大学附属東医療センター検査科
-
大塚 洋子/坂口
東京女子医科大学東医療センター検査科/東京女子医科大学東医療センター検査科/東京女子医科大学東医療センター検査科/東京女子医科大学東医療センター検査科/東京女子医科大学東医療センター内科//東京女子医科大学東医療センター検査科
-
山田 理恵子
東京女子医科大学東医療センター検査科
-
坂口 裕子
東京女子医科大学東医療センター検査科
-
加藤 博之
東京女子医科大学付属第2病院外科
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