3次元統合価値モデルに基づくシステム品質総合評価指標の提案
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概要
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システム製品の取得または開発のためにはシステムの品質を総合的に評価する必要がある.一般的にシステムの総合評価ではシステムが保有する個々の属性の定量的な測定結果を収集し,適切なアルゴリズムを用いて統合化した評価指標を導き,顧客のニーズに対するシステムの適合性の総合的な判定が行われる.一方,システムの評価規準となるシステムに対する要求分析は顧客の利用目的に関する技術的な知見や多くの経験が必要であることから困難な作業と言われている.このような問題の改善を目的として,筆者らは ISO/IEC JTC1/SC 7 WG 6 で長い間システムとソフト製品の品質要求と評価技術 (SQuaRE) の開発に参画し,ISO/IEC9126 に規定された品質モデルに含まれる 6 つの品質特性の視点に基づく定量的な品質要求定義と評価技術の開発に取り組んできた.しかし,6 つの品質特性間相互の独立性が統計的に確認されておらず,品質モデルの適合性が統計的に確認されていなかった.そこで先行研究において,ISO/IEC9126 で規定した品質モデルの適合性と有効性を統計的に検証した.しかし,システムの品質を 6 つの品質特性の視点から個別に測定し,評価することがきても,システムの品質全体を総合的に評価するめたの一般的な方法は確立されていない.従って,購入対象となる複数のシステム製品の総合的な品質評価に基づくシステムの定量的かつ客観的な比較評価及び選定は開発者又は取得者にとって難しい課題であった.このような課題の解決を目的として,本論文では 6 つの品質特性を拡張した 3 次元統合価値モデルに基づくシステム製品の総合的な品質評価を可能とする総合品質評価指標の実装方法を提案する.さらに,本論文では総合品質評価指標の実装方法の有効性を確認するために,提案した総合品質評価指標を適用して導いたシステム製品に対する総顧客満足度を,システム製品が保有する固有の属性から予測するためのモデルを開発し,提案する総合品質評価指標の実装方法の適用における有効性についての検証した.本論文ではその検証結果についても述べる.
- 2013-05-31
著者
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