触運動感覚による位置情報再現の正確さ : 視覚障がい者向けタッチパネル・ユーザインタフェースに向けて(ヒューマンコミュニケーション基礎,<特集>ヒューマンコミュニケーション〜人にやさしい情報通信社会を実現するコミュニケーション技術〜論文)
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概要
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本研究は,全盲の方でも操作可能なタッチパネル・ユーザインタフェース確立のため,学習した情報を用いて位置を再現する際の正確さ,及び再現の繰返しによる誤差累積の影響について調査を行った.視覚あるいは触運動感覚により,銀行ATMの暗証番号入力操作を想定したマトリックス状に配置されたマーカー位置(3×3)を習得し,中心位置マーク(基準情報)を出発点として目隠し状態(触運動感覚)でマーク位置を再現する課題を実施した.その結果,晴眼者,視覚障がい者共に,四隅位置が中心位置方向へのひずみをもつ配置となった.晴眼者の提示条件の比較については,触運動感覚による位置情報提示の再現が高精度に行われた一方で,視覚提示による再現は当初の予想に反して顕著な過小評価傾向となった.視覚障がい者の再現は触運動感覚による提示と類似した結果となった.6試行連続で課題を実施し,誤差値の範囲は広がるが平均値は1回目の再現位置から大きく偏向しない傾向にあった.以上の結果から,全盲の方でも操作可能となるタッチパネル・ユーザインタフェースに向け,タッチパネル上のオブジェクトデザインには,四隅位置から中心位置方向へのひずみを適用した配置とすることでスムーズな入力が期待できる.得られた結果をタッチパネル型情報通信機器上のオブジェクトデザインに反映し,視覚障がい者支援に役立てることが今後の課題である.
- 2013-01-01
著者
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岩崎 祥一
東北大学大学院 情報科学研究科
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岩崎 祥一
東北大学大学院情報科学研究科
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菊池 裕人
東北大学工学研究科工学部
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菊池 裕人
東北大学工学研究科工学部:東北大学大学院情報科学研究科
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菊池 裕人
東北大学工学研究科・工学部
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