長野県県民健康・栄養調査における分析について
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概要
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【目的】長野県が実施した「平成22年度県民健康・栄養調査」において,集計分析方法を改良し,さらに栄養素等習慣的摂取量の分布推定を行った.他の自治体で類似の調査を企画する際の参考となるよう調査方法とデータ解析の一連の手順を示しながら,その結果を明らかにする.【方法】調査では県内の39単位区を抽出し,545世帯1,281人の調査協力が得られた.調査結果から長野県の実態を適切に推定できるよう,標本数の地域間の偏りを調整した上でさらに実際の平成22年度長野県人口構成に合わせる調整を行った. 平成22年度調査結果と前回調査である平成19年度調査結果の双方を平成17年国勢調査男女計人口を基準に年齢調整して比較し,経年変化とその要因を分析した.また,非連続2日間食事調査によって推定した栄養素等の習慣的摂取量の分布を用いて県民の栄養状態の評価を行うとともに,1日調査の分布を用いて評価した場合との比較を行った.【結果】平成22年度調査の結果から,40-74歳の高血圧,脂質異常症,糖尿病,メタボリックシンドロームの該当者割合(95%信頼区間)はそれぞれ,男性は46.9%(34.0-59.8) ,14.4%(7.9-20.9) ,80%(2.3-13.7) ,24.5%(14.7-34.3) ,女性は28.2%(17.6-38.8),14.6%(7.5-21.7) ,7.0%(2.1-11.9) ,4.8%(1.7-7.9)と推定された.平成19年度調査結果と比較すると,女性は高血圧該当者が有意に減少していた.その要因としては肥満の改善等が考えられた.また,栄養状態の評価では,1日調査による分布を用いた場合に食事摂取基準の目標量を達成していない人や栄養素が不足している人の割合が過小または過大に評価されることが示された.【結論】平成22年度調査は,標本の偏りの補正や分析データの充実を図り,健康増進計画の推進に有益な基礎資料を得ることができた.また,栄養素等の習慣的摂取量の分布を推定したことにより,県民の栄養状態等について適切な評価が可能になった.
- 2012-10-00
著者
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花岡 佐喜子
長野県健康福祉部健康長寿課
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小林 真琴
長野県立総合リハビリテーションセンター
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成見 みゆき
長野県健康福祉部健康長寿課
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金崎 恵
長野県健康福祉部健康長寿課
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小林 良清
長野県健康福祉部健康長寿課