都道府県のがんの教育・普及啓発の取り組みと第二期への期待
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概要
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2012年に閣議決定された次期がん対策推進基本計画には,新たに追加された3分野のひとつに「がんの教育・普及啓発」が位置付けられた.本稿では,いくつかの先行事例を取り上げその多様性を論じるとともに,今後の都道府県がん対策推進におけるがんの教育・普及啓発の展開可能性を検討した.児童から成人までの一般国民に適切ながん対策情報を伝え,がんに対するイメージを変容させ,がん患者との共生社会を実現させるためには,大別して,(1)がんとは何か,(2)がんのコントロール可能性,(3)がん患者理解,といった3つの観点に基づいた内容を普及させる必要がある.多様な機関の連携による主体を構築した種々の実践事例から,がんの教育を推進するための法的基盤整備,ソーシャルマーケティングによる社会規範の醸成,既存の地域組織活動を強化するがんの教育・普及啓発,個人技術を向上させるための情報アクセスの整備,子どもへのがんの教育から大人への普及啓発へ,といった特徴が見出され,対象者や活動方法は多様であった.人から人へがん対策情報を普及させるためには,具体的な普及対象を選定し評価するための仕組みづくりを再考する必要性が示された.「がんの教育・普及啓発」をはじめ,新たな事業や施策を開始する際には,その実施によって健康影響を受ける集団を同定し,ネガティブ影響を最小化したりポジティブ影響を最大化したりするための方策を講じる必要がある.
- 2012-12-00
著者
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