がんの最新治療総論(1)わが国の緩和ケアの現状

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緩和ケアは、がん患者に対して疾患の初期段階から提供される、積極的で全人的な医療である。全国レベルで強力にがん医療を推し進めるためには、法律による後押しが不可欠であるが、わが国の法制化への歩みは、欧米のがん医療先進諸国に比べて大きく遅れをとっていた。がん患者が急増し、患者やその家族、患者団体からのがん医療の向上に対する世論が高まるなかで、ようやく2007 年4 月に「がん対策基本法」が施行され、基本法に基づき策定された「がん対策推進基本計画」では、全体目標のひとつとして「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」を目指し、緩和ケアが、がん治療の初期段階から適切に行われるような体制作りが重点目標として掲げられた。,本稿では緩和ケアを実践する際に知っておくべき知見として、最近の世界保健機関(WHO)による緩和ケアの定義の改訂、わが国のがん対策の変遷、診療報酬による政策誘導、そして集学的治療の一つとしての緩和ケアのあり方について概説した。国策としてのがん対策により、わが国の緩和ケアは着実に医療現場に浸透しつつあるが、緩和ケアの専門性を担う医師の養成は先進諸国に大きく遅れを取っており、今後の緩和ケアの普及、教育活動に対して、より一層の努力が求められている。
2013-02-25

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