文字コミュニケーションにおける異体字の選好と親近度 : 再検査法による信頼性の検討(<特集>実験による言語行動の研究)
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概要
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文字コミュニケーションのメカニズムを解明するため,異体学の選好に関する実験を行った.異体字とは,「桧-檜」のように読みと意味は同じで字体だけが異なる文字の集合を指す.IT機器で漢字を書いている場面を実験参加者にイメージさせ,異体学263ペアについての選好判断を2肢強制選択法で求めた(選好課題).同じ実験参加者グループに対して半年後に同じ課題を与え,旧字体選好率の積率相関係数を求めたところ,r=0.96ときわめて強い正の相関がみられた.これから,選好課題の結果は高い信頼性を有することが明らかになった.さらに,別の実験参加者グループを用いて異体学ペアのいずれの親近度が高いかを2肢強制選択法で判断させ(親近度比較課題),選好課題との相関を分析した.その結果,親近度比較課題と選好課題の間にはr=0.95ときわめて強い正の相関関係がみられた.ある異体学が社会でよく使われている場合は人間がその異体学に接触する頻度が高くなり,接触頻度が高くなると単純接触効果によってその異体学に対する親近性が増加するとともに好意度も高くなると考えられる.選好課題と親近度比較課題の間に見られる強い相関関係は,単純接触効果の影響を色濃く反映した結果であると説明できる.
- 社会言語科学会の論文
- 2006-09-30
著者
-
横山 詔一
国立国語研究所
-
當山 日出夫
立命館大学GCOE
-
笹原 宏之
早稲田大学
-
當山 日出夫
花園大学
-
笹原 宏之
国立国語研究所
-
當山 日出夫
立命館大学グローバルcoe(dh-jac)客員研究員
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