房総半島下総地方における酸性雨について : 沈着の物理的,化学的過程,ならびに気象条件からの考察
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概要
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房総半島北部の下総地方(東西約70km,南北約50km)における16地点で,9年間(1996〜2004年)にわたり降水沈着成分の濃度を観測した.この地方を3地域(下総西部,下総東部,九十九里)に分け,その経年推移や季節的推移を求め,当該地方における沈着特性の地域差について検討した.イオン種の沈着過程の検討から,nss-SO_4^<2->, NO_3^-, NH_4^+などの沈着特性の決定には,各成分の生成速度や沈着速度のほか,反応系における化学平衡,すなわち気相-エアロゾル相間の平衡関係の重要性が示唆された.湿性沈着量の季節的推移から,下総地方各地の沈着特性について比較検討した.海塩起源のイオン種を除くnss-SO_4^<2->, NO_3^-, NH_4^+, nss-Ca^<2+>などの沈着量は,暖候期から寒候期にかけて低下傾向を示し,それらの地域差は,寒候期,特に冬期に小さくなる傾向にあった.暖候期におけるその地域差は,nss-SO_4^<2->に比べてNO_3^-の場合に顕著であり,これに関して各イオン種間の化学平衡関係と,それぞれのイオン種の沈着速度過程の特性によって説明可能と考えられた.以上のほか,関東地方を覆う季節風や局地風などの知見を考慮しながら,各地の沈着特性の説明を試みた.
- 2012-12-31
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