国語教育における視覚メディアの教育に関する考察 : 1920年代から1930年代にかけての「形象化」論を中心に
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概要
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本論文では,国語教育における視覚メディアの教育の位置づけを考える基礎として,1920年代から1930年代にかけて国語教育に影響を与えた「形象化」概念について検討した。「形象化」概念は,垣内松三の『国語の力』を源流とし,『形象と理会』によって具体化される。『国語の力』における「形象」は文章を読んで理解している過程のイメージのみを指しているが,『形象と理会』では,「語」だけでなく「絵」という視覚メディアの要素が新たに加えられたことが明らかになった。その際,「絵」は「語」と同様に,読みの対象とされた,、この垣内の「形象理論」を具体化するために石山脩平は,「形象化」の過程において「内的精神的意味」を生み出すために「外的物質的表徴」としての視覚メディアを連動させながら認識させる必要性を説いた。このような石山の捉え方には視覚メディアの影響が大きく,そのことが教育現場に「形象理論」が浸透していく際の基礎となっている。このように,1920年代から1930年代にかけての国語教育における視覚メディアの教育は,国語教育に影響を与えてきた「形象化」という概念が具体化されていく過程で形成されていった。この問題は,現代の国語教育におけるメディア・リテラシー教育の位置を考えていく上で大きな示唆をもたらすものである。
- 2009-09-30
著者
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