生徒の科学的現象の説明におけるアナロジー・メタファーの生成 : その内容選択と機能に着目して
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概要
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中学生および高校生が水の融解における温度変化を説明するために考えた,アナロジー・メタファーのベースの検索と選択の特徴を調べ,アナロジー・メタファーの機能と説明の構成との関係を探った。第一に,生徒間で異なるベースが選択されても,同じような内容の考えを導くものの,そのベースが別の内容を説明するために使われることはなかった。第二に,生徒は,与えられた問いを出発点として,いくつかの特性を減少させる,もしくは単純化することによって,より答えやすい問いへとアナロジー的に変形しているのであった.その結果として,近接領域のベースが選択されやすくなるのである、加えて,問いの変形に伴って,生徒が説明する範囲は,狭められていた。第三に,生徒が同じような結論を導いたときでも,アナロジー・メタファーの有無によって,その説明の構成は異なっていた。つまり,同一の結論は,必ずしも同じ説明の構成や展開を表すものではなかった.第四に,生徒が生成したアナロジー・メタファーには,他の現象などを挙げることで現象の規則性や原因を一般化する,領域を横断して新しい説明項を追加する,既存の科学的な知識を組織化する,という機能が見られた。
- 日本教科教育学会の論文
- 2009-06-30
著者
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