リバース(反転)イノベーションというイノベーション(2011年全国大会統一論題 国際ビジネスとイノベーション)
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概要
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従来のイノベーション論では、機能やスペックの水準を引き上げる、いわば「上へ」のイノベーションに注目が集まっていた。「技術の進化は進歩でなければならない」という、広く共有された信念を前提にすれば、当然のことだ。しかし近年のイノベーション論では、新興国市場の重要度の高まりとともに、スペックや機能の水準を敢えて落とす、いわば「下へ」のイノベーションが注目されるようになっている。グローバル企業のこれまでの取り組みでは、通常の場合、母国である先進国で先行開発された製品を、その後新興国や後発国向けに手直しして展開することが多かった。これを「グローカリゼーション」戦略と呼ぶ。しかし近年それとは逆に、新興国・後発国で先行開発し、その後これを先進国へ展開するイノベーションが成果をあげ、注目を集めている。この場合、取り組みの視角が「先進国→新興国・後発国」から「新興国・後発国→先進国」へと反転していることがポイントで、それゆえリバース(反転)イノベーションと呼ばれる。本稿では、第1にGEヘルスケア、第2にホンダ二輪車という2つの事業ユニットを取り上げ、これら2事例における中国やインドでの実践の中に、リバース・イノベーションの例が観察できることを明らかにする。今までとは方向性を異にした、イノベーションの新たなフロンティアが浮上してきたのである。このような新しいタイプのイノベーションが、日米を代表する企業によって、ほぼ同時期に試行されたことは注目に値する。GEでもホンダでも、新興国の台頭がイノベーションのあり方に影響し、新しいタイプのイノベーションへの挑戦を強く刺激したのだ。
- 2012-10-10
著者
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