新傾向俳句・伝統派俳句の基礎情報学的分析
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概要
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本稿は,俳人,俳句結社などの俳句共同体,俳句メディアという多様な存在の相互関係から生じるコミュニケーションの観点から,俳句現象を包括的に理解しようと試みるものである。このように個々の自律的な存在のはたらきに留意しながら,同時にそれら個々の存在のはたらきのみには還元しきれない現象の全体(「システム」)にも目を向けようとする分析視角は,従来,「セカンド・オーダー・サイバネティクス」と総称されてきた研究分野に含まれる。本稿ではそのうち,とくに「基礎情報学」にもとづいて,新傾向・無季自由律俳句と伝統派俳句とをとりあげ,俳人,俳句共同体,俳句メディアなどによる複合的な影響を考慮しながら通時的分析をおこなうことで,豊穣な近現代俳文学史の一端を多層的観点から再考した。その結果,俳文学史は,俳句コミュニケーション創出機構の変遷,すなわち「俳句システムの進化」として理解された。その核心にあったのは,俳句批評の創出や俳句理論の変容などとしてあらわれた,俳句コミュニケーション創出機構の自覚化(俳句システムによる「二次観察」)であり,それには,作家のみならす,メディアや結社制度もまた大きな役割を果たしていたことが明らかになった。
- 2012-08-31
著者
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