地域文化の保存施策と集落の対応 : 京都府北桑田郡美山町の3集落を事例として
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概要
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近年では山村の地域文化は継承が困難になっており,保存のためには何らかの施策が必要である。本研究では,行政施策として伝統的建造物群保存地区の指定を事例とした。指定を受けるには地元の合意形成が必要であるため,山村集落の対応を視点におき,集落の社会背景と住民意識,住民による合意形成への働きかけを調査し,文化保存の施策の導入をめぐる,山村集落での合意形成の行われ方について考察を行うことを目的とした。結果として,指定に対する住民の賛否意識には,当施策に対する平等・公平性の認識,関連する村づくり活動の有無,集落の現状に対する危機意識等が関係し,集落の社会背景が影響していることが分かった。このような住民意識の元で指定への合意形成を導いた集落では,指定に賛成する住民が多く,彼らが強い意思を持ち,頻繁な話し合いや反対者への説得を行った。さらに,全員合意のために,茅葺き屋根の保存だけでなく他の物件も含め集落全域が対象となることの重要性や,新たな村づくりの開始によって住民全員に利益享受の可能性があることを説得材料としたことが合意形成の要因であることが分かった。
- 2000-03-20
著者
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