針葉樹人工林から針広混交林へのアプローチ : スギ人工林の下層に侵入再生した広葉樹の成長
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概要
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島根大学匹見演習林は,島根県の西端部標高1,000m前後に位置し,中国山地の中でも最も積雪の多い地域である。約30年前に広葉樹を皆伐しスギを3,000本/haの密度で植栽した。昭和55年と昭和63年に下層を全刈りしスギ以外の個体を整理し,その後8年間は刈払いをまったく行わなかった。この林分に20m×16mの調査地を設け,調査地内に出現する樹高1.3m以上の木本のDBHと樹高を測定した。また落葉の前後に林内照度を測定した。調査の結果,造林木を含め44種860本が観察された。胸高断面積合計(BA)は35.2m^2/haで,立木密度は26,875本/haであった。一年あたりのBAの増加量はスギで1.09m^2/ha/yr,広葉樹で0.59m^2/ha/yrであった。落葉後の相対照度の分布は9%から45%とバラツキが大きくパッチ状に広葉樹が侵入していることがわかる。広葉樹の成長は必ずしも小さくなく,今後は有用広葉樹を中心に残して混交林化をはかることは有意義であると考える。
- 応用森林学会の論文
- 1998-03-25
著者
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