ヒサカキの育種に関する研究(I) : 樹形,葉形を中心とした外部形態の変異について
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概要
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特用林産物として有望視されているヒサカキの育種を進める目的で,休耕田で栽培されているヒサカキ実生5年生121個体について,その成長,樹形,葉の形態,葉色等を調査し,その変異の有無,大きさを検討した。その結果,4区分による樹形区分では葡匐型20個体,準葡匐型29個体,準伸長型41個体,伸長型31個体で,平均樹高は83cm,樹冠幅94cm,樹冠の偏り度132%,形状比90であった。また,当年軸の色では赤味を帯びる個体から赤紫色の個体が全体の75%(91個体)を占め,当年葉の葉縁の色でも赤味を帯びる個体から赤紫色の個体が全体の52%(63個体)出現した。また葉の形,大きさでは葉形で標準型の出現頻度は88%,大きさで92%と変異はあまり認められなかった。このうち樹高,樹幹幅,形状比,主軸当年軸の色,主軸当年軸の当年葉の葉縁の色で樹形区分間に有意な違いが認められた。こうした結果をもとに,樹形区分を外的基準とした数量化II類を試行したところ,極めて明瞭な樹形の違いが認められ,選抜効果が大きいことが示唆された。
- 応用森林学会の論文
- 1997-03-25