林家経済・林業経営再生産過程に関する基礎的分析
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概要
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本稿は,林家経済・林業経営における再生産過程を分析した。分析は「林家経済調査報告」,「林業経営統計調査報告」・「栽培きのこ経営統計」を活用した。分析手法は,簿記概念をマルクス経済学の労働価値学説に準じて,不変資本・可変資本・剰余価値を計算した。それに基づき,1965から2008年までの時代ごと,保有山林面積ごと,地帯ごとに分析した。結果として,次の点が明らかになった。1970年以後,林家経済・林業経営体の収益減・所得減が続いた。そのことが家族労働賃金を圧迫し,利潤形成を妨げた。そのため,再生産が可能な水準ではないと推察された。林業経営は,1995年以後,計算上の剰余価値率が10%[m/v]以下となり,2000年以後は,林業利潤でマイナス,計算上の剰余価値でマイナスとなった。そのため,1995年を「林業解体」,2000年以後を「山村解体」と規定した。特に後者の意味の重要性を指摘した。
- 2012-07-01
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