手関節における正中神経伝導速度計測の技術的検討
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概要
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一般集団の6%が罹患しているといわれる手根管症候群(CTS)の診断において,もっとも使用される手技の一つが正中神経の神経伝導速度(NCV)検査である.しかしながらNCVの計測機器は比較的高価であり,必ずしも外来診察時に使用できるとは限らない.そこで本研究ではサンプリング周波数および電極間距離の違いが正中神経におけるNCV計測値に与える影響について調べ,NCV計測機器開発への視座を得ることを目的とした.30名の健常成人を対象に,手関節正中神経のNCVを2種類のサンプリング周波数(2KHzと10kHz)および電極間距離(1cm以下と短母指外転筋-母指指節間関節間)で計測した.各条件間におけるNCV計測値の比較には対応のあるt検定を用いた.その結果,サンプリング周波数によるNCV計測値に有意差が検出されたものの,電極間距離の違いはNCV計測値に影響を与えないことが明らかとなった.本研究の結果はNCV計測機器の性能価格比および技術的適用性を改善するうえで極めて示唆に富むものである.
- 2012-09-01