差別をめぐる相互行為のダイナミクス : 演繹的社会学のコアとしての数理社会学(<特集II>演繹的社会学の「復権」)
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概要
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社会学における演繹的研究の有効性を示すためには、そのコアにあたる数理モデルによって実例を示す必要がある。本稿では、差別される側と差別する側の相互行為のフォーマライゼーションを試み、フィールドワークに基づく研究と、数理社会学との対話の可能性を検討する。具体的なモデルとしては進化ゲーム理論の模倣ダイナミクスを用いて、それぞれの立場における戦略シェアの変化を分析する。モデルを分析した結果、差別への抵抗が活性化すると差別は減少するが、差別される側が抵抗を選好していても、初期状態によっては差別がなくならないことが分かった。また初期状態において、ある程度差別が多いほうが、ダイナミクスの末期では、かえって差別が減少するというインプリケーションが得られた。
- 関西社会学会の論文
- 2010-05-29