Pseudomonas fluorescens FPH9601菌株によるトマト根腐萎凋病発病抑制効果
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概要
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Pseudomonas fluorescens FPH9601 (FPH)はトマトの重要な土壌病害であるトマト根腐萎凋病に対して発病抑制効果があるとされているが,処理条件等十分な検討はされていない。本研究では,FPH処理苗のトマト根腐萎凋病に対する発病抑制効果を検証するとともに発病抑制効果の不安定要因を明らかにすることを目的に,発病抑制の条件と根腐萎凋病菌のトマト根への侵入について検討するとともに,また,圃場における発病抑制効果を明らかにした。FPH処理苗への接種試験の結果,FPH処理は病原菌接種密度が10^7個/ml程度までは発病抑制効果が認められた。FPH処理が根腐萎凋病菌の侵入に及ぼす影響は,トマト根への病原菌侵入部位数は,FPH処理苗が根1cmあたり接種後30日を経た段階でも0.4と非常に少なかった。それに対して無処理苗は,1カ所以上の侵入していた。FPH処理がトマト根内の病原菌数に及ぼす影響を調べたところ,トマト根内のFusarium属菌数は,いずれの調査時期においてもFPH処理苗量は無処理苗に比べて低い傾向であった。しかし,病原菌の侵入部位数病原菌数ともに接種病原菌密度が増加すればFPH処理苗でも増加する傾向で,発病抑制効果も低下した。圃場試験では,無処理区では移植約3週後に発病し,その後,発病株数は増加していった。シュードモナスフルオレッセンス剤(商品名:セル苗元気)区とFPH9601処理区の初発はともに移植約7週後で,無処理区と比べて発病遅延効果が認められた。さらに,その後の発病も両処理区とも緩漫であり発病抑制効果が確認された。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 2008-04-01
著者
-
岩本 豊
兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センター病害虫防除部
-
相野 公孝
兵庫県農林水産技術総合セ
-
相野 公孝
神戸大学大学院農学研究科
-
相野 公孝
兵庫県立農林水産技術総合センター農業技術センター
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