関東,東山,東海地域におけるFusarium病の発病抑止土壌の探索とその抑止性
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概要
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1)関東,東海,東山地域から55点の土壌を採取し,キュウリつる割病とインゲン根腐病に対する発病抑止土壌を探索するため3年間の発病推移を調査した。その結果,キュウリつる割病およびインゲン根腐病に対する発病抑止土壌としてそれぞれ5土壌および8土壌が見い出された。2)これらの両病害に対する発病抑止土壌はキュウリつる割病の場合,pHが高い土壌に多く,インゲン根腐病は土壌pHが低い土壌に多い傾向にあった。3)発病抑止土壌の探索試験で茶園土や樹園地で発病抑止性が高いことから,5地域の同一土壌統からそれぞれ森林土壌,茶園土壌および畑地土壌を採取してキュウリつる割病,ダイコン萎黄病およびインゲン根腐病に対する抑止性を検討した。その結果,病害の種類によってあるいは耕地化によって抑止性は異なり,特定の土壌が抑止土壌とはならなかった。また,森林土壌と畑土壌での発病を比較するとキュウリつる割病で森林土壌の方が発病が高い傾向にあった。4)インゲン根腐病に対する発病抑止土壌は土壌pHが低いことから,これらの土壌における病原菌の行動を検討した結果,土壌pHの低い土壌では胞子の発芽率が悪く,発芽管は短く,また厚膜胞子形成も少なかった。一方,発病程度の高い土壌では胞子発芽率は高く,発芽管も正常に伸長し,厚膜胞子形成も多かった。5)上述した結果に基づいて,土壌を人為的に4.0, 6.0および8.0に供試した土壌でキュウリつる割病,インゲン根腐病およびダイコン萎黄病の発病や病原菌の行動に及ぼす影響を検討した。その結果,キュウリつる割病はpH8.0区で発病が抑止され,病原菌密度も顕著に低下した。一方,インゲン根腐病はpH4.0区で発病が抑制され,胞子発芽率も低かった。しかし,ダイコン萎黄病においては土壌pH矯正が発病に及ぼす影響は少なかったが,病原菌の密度はpH8.0区で低下した。これらの病原菌の行動抑制が根への侵入,感染および発病に影響をするものと思われた。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1995-03-01
著者
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