螢光抗体法による土壌中の根粒菌の生態観察(免疫学の最近の進歩と土壌微生物学への適用)
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概要
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土壌中における根粒菌の生態を埋設スライド法を併用した螢光抗体法によって検鏡観察した。用いた菌株は一連の研究でマーカー菌として用いてきたダイズ根粒菌のカスガマイシン耐性変異菌である。この菌株の熱処理菌体をウサギの皮下に注射して血清を得,抗体因子のガンマーグロブリンを精製し,これに螢光色素のFITCを結合させて螢光抗体を得た。この螢光抗体は,用いた土壌の実験系に関する限り,目的とする菌株とのみ反応し,高い特異性を示した。螢光抗体を非特異的に吸着して発光するものは土壌中には少なく,また,土壌粒子自体は黄色〜暗褐色を呈して目的とする菌の緑色の螢光とは明らかに異なり,いずれも検鏡の障害とはならなかった。スライドガラス面に付着させた根粒菌の土壌中における増殖と残存は窒素添加土で非常に良好であり,以下,殺菌土≫リン添加土≧無処理土≧低pH土の順に低下し,その消長が明瞭に観察された。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1986-10-10