土壌病害のたん水による防除
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概要
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土壌伝染性タバコ病害のたん水による防除効果について検討した。1. 無たん水土壌中のpHは,ゆるやかな上昇ののち4ヵ月目より下降と上昇をくり返した。たん水土壌中では初期よりpH5からpH7前後まで一たん急激な上昇を示したのち,25, 30, 35℃の各条件下においては6ヵ月目より下降した。2. 立枯病菌は,10, 20, 25℃の無たん水土壌中および10, 20℃のたん水土壤中で約180日間生存し,30, 35℃の無たん水土壌中では60日間生存した。25, 30, 35℃の各たん水土壌中では60日以内に検出不能となった。タバコの後作としてイネを作付けることによりたん水処理したライシメーター内土壌における試験では,漏水してたん水不十分な火山灰土壌を除いて,たん水による高い防除効果が認められた。畑(3年輪作)と水田(連作,2年輪作)では,明らかに後者における発生が少ない。3. 10, 20, 25, 30, 35℃の各条件下で1年間保存後の無たん水土壌中の全糸状菌数は,10^4/gないし10^5/g以上であったが,同一条件下のたん水土壌中では高温ほど少なく,30, 35℃では10^3/g以下であった。4. 腰折病菌は,10, 20℃の無たん水土壌および10℃のたん水土壌中で270日以上生存し,30℃の無たん水土壌および20℃のたん水土壌中では68日以内に検出不能となった。33℃のたん水土壌中では33日以内に検出不能となった。5. 疫病菌は,10, 20, 30, 35℃の無たん水土壌中で180日以上生存したが,10, 20℃のたん水土壌中では150日以内に検出不能となった。30℃のたん水土壌中では90日まで,35℃のたん水土壌中では60日まで菌の検出が可能であった。6. 黒根病菌は,10, 20℃のたん水,無たん水土壌中において360日以上生存したが,30℃の無たん水土壌中では240日以内に検出困難となった。30℃のたん水土壌中では30日まで検出されたが,35℃のたん水,無たん水土壌中では30日以内に検出不能となった。7. 白絹病菌は,10, 20, 30, 35℃の各無たん水土壌中で360日以上生存した。10℃のたん水土壌中では60日まで,20℃のたん水土壌中では30日まで検出可能であったが,30, 35℃のたん水土壌中では30日以内に検出不能となった。8. TMVは,10, 20, 30, 35℃のたん水,無たん水土壌中で390日以上活性を保持していた。しかしTMV濃度は無たん水土壌中よりもたん水土壌中で常に高い値を示した。9. ネコブセンチュウは,10, 20℃のたん水,無たん水土壌および30, 35℃の無たん水土壌中で240日以上生存していた。しかし30, 35℃のたん水土壌中では60日以内に検出不能となった。
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1975-12-15
著者
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- 土壌病害のたん水による防除
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