土壌団粒構造と細菌の分布について
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概要
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1.土壌の団粒構造と細菌の分布の関連性を検討する研究の一環として,まずグリシン環流土壌に洗滌-音波法を採用し,土壌団粒の「外部」と「内部」の細菌数変動を明らかにした.両者の部位における細菌数変動は,その土壌のもつ物理的性質,すなわち水分保持力と孔隙率と関連するものであることを明らかにした. 2.また,ショ糖溶液重層法で,団粒の「外部」と「内部」に生育した細菌群をさらに分画すると,団粒の「外部」に生育した細菌は変動しやすく,「内部」のものはより安定であることを明らかにした.つまり,土壌団粒の「内部」は細菌の棲息場所としてより安定な場であると結論した. 3.微細土壌団粒中における保持細胞数を検討した結果,直径約20μ前後の大きさの土壌団粒からその保持細胞数の急増がみられた.この大きさの団粒中では一定数の細菌群が生存できると共に水分条件に弱いグラム陰性細菌もまとまって生存できる点で,それより小さい団粒とは質的に異った.従って,直径約20μ前後の土壌団粒は細菌の棲息場所としての土壌団粒内部構造の形成される最少の大きさのものであると結論した. 4.径6μ, 16μ, 374μ,および432μの団粒における細菌種構成を検討した結果,小さな団粒(径6μ)から分離された細菌は均一種でなかったが,他の三つでは,団粒中の種にまとまりがあると共に,その優先種は団粒個有のものであった.これらの結果は団粒構造と関連するものと推定した.
- 日本土壌微生物学会の論文
- 1971-01-30