確率的イオンチャネルが実装された蝸牛神経腹側核モデルにおける自発性発火レートの機能的役割
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概要
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聴覚において、神経の閾値に達しない微弱な音信号の音源の方向、音源までの距離に関する外界情報の検出(音源定位)は、動物の生存を揺るがすほどの大切な役割を演じている。本報告では、一次聴神経から受けとった音情報を、音源定位を行う上オリーブ核へ忠実に中継する、蝸牛神経腹側核でのSpherical Bushy細胞の神経モデルを用いた計算機シミュレーションによって、自発性発火レートが果たす機能的な役割の解明を目的としている。計算機シミュレーションにおいては、ナトリウム、高閾値カリウム、低閾値カリウム、陽イオンの4種類の確率的イオンチャネルが実装されたHodgkin-Huxley型の単一コンパートメントモデルに対して、α関数で平滑化された非一様ポアソン過程としてモデル化された一次聴神経からのシナプス電流を刺激として与え、Runge-Kutta法によって微分方程式を解きながら時々刻々と変化する神経細胞膜の内外の電位差を求め、活動電位の発火時刻列から情報レートを計測した結果を示す。その結果、非一様ポアソン過程の強度関数の定数部(自発性スパイク発火レートに相当)の増加に伴って、情報量は上昇し、最大値をとり、そして下降する傾向(共振現象)が観測された。それゆえ、適切な発火レートの自発性スパイクは、一次聴神経からの情報を効率的にしかも忠実に上オリーブ核へ中継するうえで、重要な機能的役割を果たすと考えられる。
- 2011-11-17
著者
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