各成長段階における最大林分断面積の推定
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概要
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システム収穫表を作成するにあたり、競争-密度効果の理論に対して再検討を行い、ロジスティック理論に捕らわれない立場から、競争-密度効果の逆数式の係数に対して新解釈を試みた。単木当たりの平均実占有面積(s)という概念を取り入れると、競争密度効果は、s=1/(ρ+α)という関係に帰着する。ここで、ρは林分密度、αは成長に伴い変化する係数である。一方、安藤の研究により、競争-密度効果の逆数式が、単木当たりの平均胸高断面積(g)と林分密度との間に対しても成り立つことが知られている。すなわち、1/g=A_g・ρ+B_gである。ただし、A_g、B_gは成長に伴い変化する係数である。単木当たりの平均胸高断面積(g(t))が単木当たりの平均実占有面積(s)に比例すると考え、その比例定数をλ(t)とおくことにすれば、g(t)=s(t)・s(t)と表される。これらの関係式から、結局A_g(t)=1/λ(t)が得られる。ha当たりの胸高断面積合計、すなわち、林分断面積(G)は、G=ρ・g=λ・ρ・s=λ・Sと表される。ここで、Sはha当たりの実占有面積合計である。Sが単位面積を覆いつくしたと考えると、すなわちS=1と考えると、λは最大林分断面積を示すことになる。このλの値は、間伐の効果を考える場合に重要な役割をはたすので、本論文では、安藤の資料を用いて、各成長段階におけるλを推定した。
- 森林計画学会の論文
- 1991-03-00
著者
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