2011年の教育改革案・調査報告等
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概要
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2008年前後以降子ども・若者が直面する格差・貧困への認識の深まりとともに、その解決のための諸施策が実施されたが、その開始当初からはそれらの廃止・縮小を求める主張も現れていた。経済・財政状況の悪化を背景に、子ども手当や高校授業料無償制の存続の可否が2011年における政治的テーマの一つだった。これと裏腹に、若者の就職難がさらに悪化する傾向にあることを示す調査結果が多く公表され、文科省と厚労省が連携して対策を講ずる動きが目立った。しかし、3月11日の東日本大震災と東電福島第一原発事故は、子ども・若者をめぐる客観的状況と世論を一変させ、教育・福祉施策の重点は被災児童生徒学生に対する緊急の救済・支援措置や防災教育や学校等の耐震対策に関する施策へと大きくシフトした。他方、東京都教委の10.23通達(2003年)以降、行事・儀式における起立・斉唱の職務命令に起因する訴訟が多数提訴されてきたが、2011年5月以降、各訴訟に対する最高裁・小法廷の判決・決定が相次いで言い渡された。各小法廷は職務命令を合憲とする一方、法定意見または補足意見で思想良心の自由の制約への懸念も表明された。また、2012年4月から使用する中学校教科書の採択においては、育鵬社・自由社が発行する教科書の採択が注目され、とくに八重山採択区における採択問題が大きな問題となった。中央教育審議会は、キャリア教育・職業教育特別部会と教育振興基本計画特別部会においてそれぞれ審議が進められたが、2011年には大きな動きは見られなかった。しかし、経済界からは競争力人材・グローバル人材育成、とりわけ大学教育の質保証や国際化に関する要請や提言が目立ち、これに呼応する科学技術政策・予算配分の展開が見られた。なお、日付不詳の事項は月まで表記し、日は「xx」として、各月の末尾に加えた。
- 2012-03-30
著者
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